『隠岐 島前(中ノ島)』
2011.7.29
午後3時、環境教育講座が終了し、一緒に研修した仲間たちがフェリーで帰るのをを海士町の人たちと見送った。私は、せっかく隠岐に来たのだから絶対に自転車で旅をすると決めていたのでここに残ったのだ。 ここ海士町に残ったのは、松江から来ていたT下さんと私の二人。T下さんは西ノ島に知り合いがいて、今日はそこに泊るということだった。
 さっそく、観光協会に預けていた自転車を受け取り、中之島散策の準備をしていた。すると、T下さんが、レンタサイクルに乗って、やってきたではないか。「私も、自転車を借りました」といって、案内もお願いしたらしい。そこに現れた案内の方は、なんと、美しい女性だった。Iターンで若者が増えているというここ海士町、さすがだ〜。この方は、小豆島出身で、東京に暮らしていたのだが、ここの募集を見てIターンされたということだった。ここ海士町では、毎年7名ぐらいは若者がIターンしてやってきているそうで、結構な人数になっているらしい。昨日、今日の講座の講師も、福岡からのIターンの方が2名いた。キャリア教育の視察が来るわけだ。
 さて、T下さんと案内の方と一緒に隠岐神社に向かった。後鳥羽上皇がここ海士町の中之島に流されて、都を思い、なくなっていったことや、それまでに、たくさんの都を思う和歌をのこされたなど、いろいろと解説をしてくれた。たまには案内つきの旅もいいな〜と興味深く神社の境内を歩いた。T下さんと案内の方は、これで、終了ということで、菱浦港へ帰って行った。「ありがとうございました。」
 これから先は、いつもの「つぎはぎ日本一周」ペース。案内の方から教えてもらったこの島のみどころを巡ることにした。
    
    

   
最初に向かったのは、ハートの形に見える洞窟がある明屋海岸。多少のアップダウンがあるものの、まあ、こんなもの、マイペースで進む。キャンプ場が整備された明屋海岸に到着。ハートの形にはちょっとみえなかったが、(角度によっては見えるらしい)なかなか綺麗な景色に癒される。自動販売機でドリンクを購入して、空き缶をすてようとしたら、風のためだと思うが、根元からまがった木のところに空き缶入れが設置してあった。この木なかなかおもしろい。

   

次は、この辺りでは最も古い神社ということだが、宇受賀命神社へ向かう。ここからも、多少のアップダウン、ゆっくりゆっくり進む。のんびりしたもので、道のすぐ横に牛がいる。自転車で進むと、突然目の前に現れる感じで、びっくりする。(牛に言わせれば、突然現れるのは自転車の方なのだが)宇受賀命神社に到着。田んぼの中にあるひっそりした神社だ。妙に明るい雰囲気。

    

 角山まわりの道を進みんでいると、曲がりくねった地層に出くわした。褶曲(しゅうきょく)というものらしいが、。こんなに地層ってまがるんだ〜。その後、北分大橋をわたり、諏訪湾へ。

  

 この後、南へ進む予定だが、一度、菱浦へ帰る。すると、再びT下さんがいるではないか。まだ、知り合いの仕事が終わっていないということで、港でやっていたビアガーデンでビールを飲んで待っているとのこと。  さきほどの観光ガイドの人のことを話題にしたのだが、私は、レンタサイクルのサービスと思って、「海士の人は本当にやさしい方が多いですね、ガイドさんも、レンタサイクルのサービスですか?」と聞いたら、お金を払ってガイドしてもらったということ・・・・そうだよねあ〜いまどきそんなサービスないか!ってことで、お金をTしたさんに払おうとしたところ、お金はいいということで、うけとってくれなかった。悪いことしたなあ〜と思いながらも、お言葉にあまえさせていただいた。「T下さん、感謝です。」

 その後は時間との戦い。この島を一周したいのだけれど、西ノ島にも行きたいので、この島は今日中に行けるところまで。夕暮れまで残り時間が迫ってきた。さすがに暗い中で島を巡るのは、景色が見えないし、危険だし、恐ろしいし、で、やりたくない。明るさとの相談で、行けるところまで行ってみようと思い、再スタートを切る。最初に向かったのは、七尋女房岩という、水木茂も来たという妖怪の伝説のある岩。ガイドさんも、怖いですよ!と紹介してくれた岩だ。到着すると、看板に鬼太郎などが書かれた入り口が見えた。そこからは階段を上っていく。この階段のあるあたりの雰囲気も妖気を放っているようだった。少し行くと、見えてきた。たしかに、気味の悪い岩だ。

   

 まだ、時間があったので、もう少し先へ進む。とはいっても、次の目的地は、最南端の灯台がある、木路ヶ崎。結構な距離がある。まあ、暗くなりそうなら、あきらめてUターンすればいい。結構なアップダウンで、人にも出会わないし、車も通らない、牛がいる、多少不安を覚えながらまあ、いざとなったら携帯もあるし・・・と携帯を見ると、圏外・・・・。まあ、なるようになるさ。ということで、トレーニングモードに突入して、なんとか、木路ヶ崎に到着。

   

 写真を一通りとって、再びトレーニングモードで帰路にたつ。
 それでも、まっくらになる前に菱浦に到着。今日は、ビアガーデン。ここで食事とする。私はビールは飲まないので、コーラと、焼きそばと、隠岐の名産ヒオウギ貝を食べた。うまかった〜。

    

  島前の3つの島は内航船があり、結構遅い時間まで行き来している。菱浦から別府(西ノ島)までの最終は午後10時20分ごろだったが、西ノ島で野宿か、テント泊かをしなくてはならないので、8時30分ごろの内航船に乗った。300円という安さで、島を渡れる、ありがたい。自転車も輪行バックに入れると、手荷物ということで、無料だったし、本当に助かった。
 西ノ島の別府港に渡った。ここは、菱浦とはうって変って誰もいない静かな雰囲気だ。ただ、車は多く停まっていた。さて、今晩の宿、野宿にするか、テントにするか辺りを見渡して考えてみた。ちょうど、近くに公園があり、そこのベンチで野宿もいいかな?とも思ったが、テントをたてるスペースもあったので、ここにテントを張ることにした。明日の朝、みんなが起きだす前に撤収すれば、それほど迷惑にもならないと考え、ここに決定。
 最近のテントはコンパクトになっていて、それほど荷物にもならずに持ち運べる。ありがたい。今日は、ここでお休み。普段は夜が遅いのだが、今日は疲れからか、すぐに眠りについた。

  

本日のデータ
 走行距離 42q
 平均速度 15.5q/h
『隠岐 島前(西ノ島)』
2011.7.30
 朝方、4時ごろだろうか、パラパラと雨が・・・・やはり、テントを立てていて正解だった。テントの中で、雨の音を聞きながら再び眠る。それでも、朝、人が大勢行き来する中、テントを立てているわけにはいかないという気持ちからだろう。朝4時30分ごろには目が覚めた。トイレに行ったりするが、さすがにもう少し横になろうと思い、1時間ぐらい横になっていた。それでも、眠れないし、明るくなってきたし、で、テントを畳むことにした。さっき、まで雨が降っていたのだが、この時にはもうやんでいた。ただ、テントは水滴でぬれていたので、タオルでその水滴を拭きながら畳む。テントを畳んだものや、昨日までのいろいろな荷物をずっと持って旅をするのも大変なので、輪行バックに全部つめこんで、必要なものだけリュックに入れた。この中には、時間があれば、海に入りたいと思い、水着やシュノーケル、サンダルなどもいれておいた。荷物は、柱に鍵をかけて、建物の陰のようなところに置いておいた。治安もいいし、取られるようなものでもないので大丈夫だろう。6時前にスタート。近くにコンビニなどもないので、朝食はなし。こんなことなら、昨日のビアガーデンのとき、朝食用に何か買っておけばよかったと後悔する。ポケットに研修の終わりにお菓子をいただいたのだが、キャラメルが4つほど入っていたので、朝食代わりに1つほど口に入れた。
 ここ西之島には、以前釣りで出かけたことがある。その時は、ほぼ釣り場と釣り場の移動といった訪問だったので、釣り場の魅力は十分に味わったが、隠岐の観光は今回が初めてだ。ただ、渡船屋さんのご厚意で、赤尾の展望所には車で連れて行ってもらい、綺麗な景色に感激した記憶がある。
 今回は、そういう場所も含め、自転車でじっくり散策していきたい。ただ、結構標高が高そうなので、のんびりというよりも、トレーニングに近いものがありそうな予感はしていた。
 西之島は、後醍醐天皇が流された島で、ここにも歴史的に有名な場所がある。そこへも行くことにした。
 まず、別府港の目の前に見付島という島がある。ここは、後醍醐天皇を見張る島だったそうだ。

      

次に向かったのは、黒木御所跡と黒木神社。後醍醐天皇がここに住んでいたというところらしい。天皇家が隠岐に来られたときには、必ずお参りをするところだそうだ。

   

 さて、この後、来たへ向かって進む。できるだけ、島一周の形になるようルートを組みたいと考えたのだが、どうも、このルート尾根を進む山岳コースというのが、地図からでも予想できた。その予想どおり、細い道で、どんどん上っていく。海を眺めながら・・・というイメージとは程遠く、ひたすら山道を登っていく。標高200メートルあたりをずっと尾根づたいに進んでいくのだ。昨日の環境講座で、島前は、焼火山が噴火した時の外輪山で形成されていると言われたが、ここがその外輪山になるのだろう。上り切って尾根の道になると、ところどころ海が見える。やはり、海が見えると気持ちがいい。そんな中、突然、牛が道路にいるではないか!びっくり。しかし、この道を進むしかない。恐る恐る横を通るが、牛は何もせず、私を見送ってくれた。ほっとした。

   

   

 尾根といえども、やはり、アップダウンは結構あり、へろへろになったので、休憩することにした。そう言えば朝食をまだ、食べていないのだ。疲れたし、車も来ないので、道端で横になり、しばし休む。このとき、再びキャラメルを食べたが、これがとてもありがたかった。起き上がると、寝転んだと同じ形に汗の後が・・・。相当汗をかいている。熱中症にならないよう、水分もしっかりとろう。しかし、尾根づたいの道には自動販売機などはないので、町に下りるまでは、残り少なくなった水分を上手にとっていくしかないのではあるが。横を見ると、アスファルトから雑草が力強く生えている。雑草は強い。
 下りになり、快適に進む。外浜というところに出た。やっと町に出たので、お店を探す。船越というところにあったので、パンやジュース、アイスクリームなどを購入し、今日の朝食をいただく。この時点で8時30分。ずいぶん走ってきたように思うが、まだ、こんな時間。何か、得した気分。

   

   

 ここからは、少し平地を行く。船引運河を通るときに、ちょうど船が来たので撮影。
 その後、由良姫神社にお参りした。ここの浜はイカ寄せの浜として昔は、以下の大群が押し寄せたらしく、浜の中には、イカをすくっている人形が設置してある。本当にこんな感じでとれていたらしいが、すごい光景だっただろうと想像する。

    

 この後、再び坂道へ入る。絶景ポイントの摩天崖へ向かう。ここは、250メートルもの断崖絶壁で想像も難しいくらいの場所。景色は抜群だが、相当怖い。再び、海抜0メートルから250メートルを上る。再び、へろへろモード。途中休憩するが、ここでも、寝っ転がった形に汗の跡がつく。道のあちこちに馬や牛のふんがころがってくるようになった。不思議と臭さはなかった。風が強かったり、ふん自体が乾いていたりしていたからだろう。やっとのことで、摩天崖の駐車場に到着。ここから先端までは徒歩になる。途中は、草原のようなところに牛や馬が自由にいて、そのすぐ横を歩いていくのであるが、最初こそ、びびったけれど、なれると、普通に歩けるようになってきた。ただ、仔馬などの横を通るときは気をつけた。あれでも、親が怒ってくるかもしれないと思ったからだ。
 摩天崖の先端は、看板はあったけれど、垂直に覗き込むようなことはできず、この先に海があるんだろうと想像するしかなかった。そこから先は、立ち入り禁止。それでも、摩天崖から見える景色もとても綺麗だった。ただ、雲がかかっていて、遠くはかすんでいたり、雲に隠れていたりしたのが、残念だった。すかっとした天気で、ここから景色を眺めてみたかった。

   

  

   

 今度は、来た道を戻り、国賀海岸へ下り、通天橋へ向かう。駐車場からここも徒歩、舗装された道を下っていく.通天橋は見えないのだが、正面に面白い形の岩が見える。これもなかなかの景色だ。下ったところに神社があり、そこから今度は少し上っていく。丘のようになったところに展望所があり、ここらあたりから通天橋が見えてくる。これが、すごい迫力。和歌山の白浜あたりの絶景ポイントに負けていない、いや、こちらの方が迫力がある、そんな印象を持った。何枚も写真をとって、再び徒歩で、駐車場へ。

  

   

 次は、摩天崖と通天橋の両方が見える赤尾の展望所へ向かうことにした。またまた、0メートル浦郷小学校の横の道から少し進み、赤尾に向かって坂を上る。ここも、250メートルぐらいの高さらしい。本日3度目の250メートルヒルクライムだ。とはいっても、ゆっくりゆっくり上る。途中、牛とか馬が怖がってそこから先に進めないようにするためだろうと思うが、だいぶ隙間のあいた溝蓋が何か所も設置されていた。これが、小径のビアンキフレッタTにはこたえた。すごい振動だし、パンクしそうだし、とても不安だった。真ん中に鉄が1本通っているところもあり、そこを通ろうかと、草で隠れていた真ん中あたりをとおたら、相当な衝撃。ここには鉄が通っていなかったのだ。その後、ブレーキをかけると、異音が・・・・、リムを見るとなんと、相当な傷がついていた。まあ、パンクしなかった分よしとしよう。

 

 赤尾の展望所近くも、相当道路に牛のふんが落ちていた、。ふんを踏まないように気をつけて進む。道の向こうを見ると、なんと、牛の集団が道をふさいでいるではないか。どこを通っても、牛がいる状態で、しかも道の上でくつろいでいる。ここまできて、展望所をあきらめるのもいやなので、ここは、通じない言葉ではあるが「おじゃましますよ〜、ごめんね〜。通るよ〜」と牛に話しかけながらすぐ横を進んだ。すると、牛も多少移動してくれ、自転車を通してくれたような?そんな気がした。まあ、今日初めて牛とご対面したときにこの状態だったら、とても無理だったかもしれないが、ここに来るまでに、何度も牛と遭遇し、ずいぶん慣れていたということもあるが、無事、通過。展望所へ到着した。ここからの景色はやはり最高。さっきまでいた、通天橋や摩天崖が両方見渡せるのだ。このころには、雲を覆っておらず、とてもいい感じの景色になっていた。上ってきたご褒美の絶景だ〜。

  

 さて、本日最後の訪問地。鬼舞の展望所だ。ここは、尾根づたいのスカイラインをとおって、最南端の展望所だ。ただ、海岸線だと、もう少し南までいけるのだが、今回は時間の関係もあり、尾根伝いの最南端ということ鬼舞を選んだ。ここまでの道も結構ハードだったが、0から250メートルというほどではなく、まずまずの感じで到着。展望所までは徒歩になる。展望所に行くと、ここも、牛の楽園。展望所の屋根付きの東屋の中にも牛がどでーんとたたずんでいるではないか。ここも、もう慣れたからだけれど、「ごめんよ〜、そこで、休憩するけーね。おじゃましますよ〜」などと話しかけと、すぐ近くのベンチに座った。牛をこうして近くでじっくり観察できるのもここならでは。

   

 そろそろ、本土に帰る最終のフェリーの時間を気に掛けないといけない時間になったので、帰りはトレーニングモードで帰る。瀬戸山トンネル辺りは朝は通らなかったのだが、ショートカットということで、この道を通る。結構だらだらした坂で、250メートル級を3本か4本こなした後の足にはちょっときつかった。
 別府港について、やっと昼食タイム。近くの食堂に入ったのだが、ここの店の人は若い男性だったのだが、「いらっしゃい」もなく、もくもくと調理を続けている。私に気付いていないのかな?とも思ったが、時々はこちらを見ているよう。結構な時間(待っている時はそう感じる)放置された状態。もう、出ようかとも思ったが、「すみません、おひやください」というと、やっと出てきて、注文を聞いてくれた。かつ丼を食べたが、味はいいのだが、接客態度から後味が悪い。隠岐に来てずっと、すばらしい人と人との対応に出会っていたので、最後にちょっと悲しかった。食堂というのは、外から来た人が必ず利用するところ、言ってみれば、受付のようなものだ。やはり、気持ちよく対応してほしいな〜と思った。島の印象の重要な部分を占めていると思う。反面教師として、私自信、気持ちのよい対応というものをしっかり身につけたいと思った。
 
 いよいよ島ともお別れだ。今度来るのはいつになるのだろう?今回は島前だけだったが、次に来るときは、道後を走ってみたい。
 帰りのフェリーに乗っていると、なんと、時間ぎりぎりになって、T下さんが乗ってきた。これだけ、出会うということは本当に何かの縁ということで、いろいろお話しながら帰ったのであるが、T下さんもなんと、ピナレロのロードバイクを持っているということで、自転車仲間でもある。お互い、自転車でも一緒に走れたらいいねえなどと話しをした。
 七類に着いたときに、なんと、T下さん、隠岐の漁師さんと無人島に出かけて一緒にとったアワビやサザエを私にも分けてくれた。なんと、やさしい方だ・・・感激。(一応は遠慮しましたけど、いただきました)本当にいろいろと感謝です。
 ちょっとハードだったけれど、思い出にのこる、「つぎはぎ日本一周」だった。なごりおしいな〜。

  


 本日のデータ
 走行距離 56.65q
 平均速度 13q/h
 GPSで見ると、250メートル級のこぶが5つできていた。累積標高1871m  

















『つぎはぎ日本一周』