『甲浦〜高知』
2009.8.11
前回鹿児島のときに、両親から、また、こんな感じで『つぎはぎ日本一周』したかったら言ってくれていいよ。ということを言ってもらっていたので、再び甘えさせてもらうことにした。両親が車で観光をする間に私が自転車で進むわけだから、帰りの電車を心配しなくていいことになる。そういうことから鉄道が通っていない場所をお願いすることにした。2年ぶりになる室戸岬方面である。2年前に甲浦という鉄道がきている最後の駅まで自転車で行っていたので、今回はそこから行けるところまで行くことにした。鹿児島の時には、最後にたどり着いていた駅を間違えていたので、今回は、しっかりと確認。やはり甲浦に間違いなかった。
インターネットで高知にホテルを予約しておいてもらったのだが、1件しか空いてなかったとのこと、危なかった。
しかも、出発の数日前から目的地の徳島とか高知などは大雨。岡山などでは、水害も起こっている。延期するかどうか心配していたが、インターネットの週間天気予報を見ると、自転車で走る日は二日とも天気だった。前日まで大雨でも、当日晴れればなんとかなるだろうということで、延期せずに出発することにした。[最近気がついたのだが、プリウスの荷台の部分には、なんと、タイヤをはずしたロードバイクがちょうど、すっぽりと入るのだ。今まで、斜めにして、ハンドルの部分を後部座席に乗っけた状態がやっとと思っていたのだが、ビアンキも、ピナレロもどりらも、写真のように、ちょうど入るのだ。思い込みというのは恐ろしい、入るはずがないと思っていたので、やっていなかったのだと思うが・・・・・。これで、すっきりロードバイクを運べる。]
二人で交代で運転するのと、休みがそんなに取れないことから、前日の深夜に出発して、夜通し運転して朝、到着するというパターンだ。前日の11時ごろ益田をスタート、今回は、ウイークデイということで、高速1000円ではないが、深夜割引で以前なら3割引きのところ、今は5割引という料金だそうだ。ラッキー。
ところどころで休憩しながら甲浦を目指す。
高速は鳴門までしか通っていないので、ここからは一般道を通る。結局、甲浦には6時30分ごろに到着。駅は、アニメにでも出てくるようなかわいい感じのつくりで、ホームは階段を上がったところにある。この様子などを見ても、以前、ここまで来たということが実感できた。今回は間違いなく、この駅からスタートだ。準備をして、両親と別れ、出発した。最初は、津波のための避難施設に向かった。前回印象に残った場所なので、なんとなく、そこに行きたくなったのだ。気持ちのよい海岸だ。
そこから南、室戸岬に向かって進む。島がいくつか見え、その重なりが美しい。左側通行で、左側に海が見えるという絶好のポジション。海はいつ見てもいい。何箇所も何箇所も目に留まる風景に出会い、そのたびに写真を撮った。『つぎはぎ日本一周』で距離が稼げないのは、風景の美しさのせいでもある。
途中、川を渡るのだが、昨夜までの大雨で水位が随分上がっているようだし、水もにごっていた。今日は晴天で気温も高いのだが、雨の中を行くことを考えたら雲泥の差だ。昨日は大雨だったということなので、本当にありがたい。そんな気温が高い中を走っていても、時々、クーラー?と思うほど、涼しい場所がある。それは、道路の海と反対側が谷状になっていて、そこに滝か何かが流れているようなところ、そういう場所を通ると、本当に涼しいのだ。木々の間と水の間を通ってきた風がそのようにするのだと思う。不思議なもので、コンクリートでできたところを滝のように水が流れている箇所も通ったが、谷状に比べると、ぜんぜん涼しさが違った。木々の間を風が通るというのが重要なのだろう。
また、変わった形の木が生い茂っているような面白い風景にも出会う。
海岸には、面白い形の岩がいたるところに現れる。遠くに、いくつか巨石のかたまりが見えてきた。近づいていくと、夫婦岩と名前がついた岩らしい。岩と岩とに藁でできた注連縄のようなロープがかけてあった。
また、この辺りのガードレールはクロと茶色の中間のような色をしている。不思議に思ったが、黒潮にかけているのではないかな?と自分なりに納得した。本当はどうなのだろうか?
走っていると、目の前に赤や黄色の鮮やかな場所が広がった。よく見ると、漁業用の網を乾かしてあるのだ。それにしても鮮やかだ。魚にも感ずかれるんじゃないの?といらぬ心配もしたりした。
さて、室戸岬といえば、海洋深層水が有名である。ぼちぼち、その関連の会社が見えてきた。その中の一つの場所に、海洋深層水(塩分を除去したもの)を量り売りしているような箇所があった。結構次々に購入する人がやって来る感じだった。そこに来た人に質問してみた。以前にも書いたことがあるが、『つぎはぎ日本一周』中だと、恥ずかしいという感覚より、興味の方が勝って結構平気で人に話しかけることができる。不思議だ。この水は何に使っているかということを聞いた。すると、コーヒーを淹れるのに使うという返事だった。この水だと、深みが出るらしい。さすが海洋深層水。その場所の海側に、公園があったので行ってみると、太平洋が一面広がっていた。この海の深海から海水をくみ上げているのかぁ〜となんだか不思議な気持ちになった。
そこを後にして進むと、なんと、もうすでに稲刈りが終わっている田んぼがいくつか見えてきた。あまり、田んぼは多くはないのだが、その田んぼはほとんどが稲刈りを終え、干してあった。さすが、南国だ。
さらに行くと、大きなコンクリート造りの仏様のようなものが見えてきた。空海らしい。ここ、四国は弘法大師空海が、修行をした地ということで、空海が建立されていた。
その反対側にデープシーワールドという海洋深層水に関する資料館などがあったが、その一角に、足湯があった。海洋深層水の足湯というのも興味があったので、早速足をつけてみた。自転車を漕いできた足には、ここちよい。普段は、そんなにお湯ではないのかもしれないが、今日はとてもよい天気なので、ちょうどよい湯加減だった。ここは無料だ。
海岸線は、岩がごつごつとしてきていた。その岩と岩の間に遊歩道ができているような箇所に来た。その反対側に大きな洞窟のようなところがある。ここは、空海が修行をした場所ということで、ありがたい神聖な場所なのだ。中に入って、安全祈願をした。そんなことをしていると、自転車に乗った若者が一人入ってきた。話をすると、自転車で四国八十八箇所巡りをするということだった。つぎはぎをしなくてもいい学生がうらやましくなった。まあ、つぎはぎをするところが面白かったりするのであるが・・・・ずっと旅だったら、いやになるかも・・・・。
そして、室戸岬に到着。岬というイメージというと足摺岬や、佐多岬のように断崖絶壁っていう感じがするのだが、ここ室戸岬は海岸沿いの道という感じだった。わざわざ、見晴らしをよくするために、櫓を作って展望所にしたりしていた。
ここには中岡慎太朗の銅像があるので、そこに行って、写真をとった。今、学生時代に読んだ『竜馬が行く』を3度目になるが読み返している。土佐出身の中岡慎太郎などにとても興味があるので、今回の旅は歴史を巡る旅という色合いがある。
海岸には、先ほどからあった奇岩があり、遊歩道もできていたので、少し散策した。なかなか面白いところだ。
展望所の売店のおばちゃんに聞いて、灯台まで歩いていくことにした。お遍路道だ。結構距離があり、石段も多い。大汗をかきながら上まであがった。おばちゃんは30分ぐらいかかるよ、と言っていたが、15分ぐらいで到着した。でも、結構足にはきた。そこには第24番所の最御崎寺があったが、このお寺もなかなか雰囲気があった。お参りをして、灯台へ向かう。灯台は、そこから少し下ったところにあった。残念ながら、中には入れなかったが。灯台が見える広場から太平洋を見下ろす、そんな感じだった。海を自分のものにしたようで気持ちいい。下りも石段を降りるのだが、徒歩のつらいところは、下りも足に負担が来るということだ。自転車なら、下りは天国なのだが、結構下りの方が足に来るような気がした。
まだ少し早かったが、お腹が空いてきたので、海の駅「とろむ」というところがあったので、そこに寄ってみた。そこの「海鮮レストランぢばうま八」という店に入る。冷房がきいてきて、生き返る。そこのメニューにあった「室戸とれとれ丼」を注文する。室戸でとれた旬の魚をたっぷりと乗せた丼だ。おいしくいただいた。
先へ進む。ところどころにあるちょっとした漁港の雰囲気がいい。
キラメッセ室戸という道の駅にも寄ってみた。ここにはくじら館という資料館があったのだが、入らずに回りをぐるっとしただけで、先を急いだ。海岸側には、ここもまた面白い形の岩があった。板を何枚も重ねたような岩だ。
吉良川町町並みという看板が見に入った。『つぎはぎ日本一周』では、古い街並みを見るのがとても好きで、よく立ち寄る。今回も、この街の中をぐるっと見て回ることにした。ここら辺りの蔵や建物の特徴の一つに、屋根の下に何段も屋根のようなひさしがある。どういういわれかわからないが、こうした他にないつくりが多かった。なかなかいい雰囲気の街で、何枚も写真に収めた。
中岡慎太郎の生家と資料館は、国道55号線よりも7キロも山の中へ入ったところにある。どうしようか迷ったが、折角高知に来たので、寄っていくことにした。途中川沿いの道を通るのだが、昨日までの大雨で、水量が多く、流木がすごかった。細い道や、結構のぼりもあったりしてやっとのことで到着したものの、なんと、資料館は本日休みとのこと・・・・が〜ん。まあ、これも『つぎはぎ日本一周』にはよくあること、気をとりなおして、生家に行ってみる。ここは普通に家があるだけで、周りから見ることができた。また、資料館の裏の山にお墓もあったので、そこにもおまいりした。中岡慎太郎が育った土地の雰囲気を味わえたので、資料館には入れなかったよしとしよう。
奈半利駅に着く。甲浦からここまでが鉄道が通っていない地域。ここ、奈半利駅からは高知などに鉄道が続く。結構近代的な感じの駅だ。
走っていると、100円アイスという看板を発見。これは買わなきゃ損ということで、ソフトクリームを購入。最近100円というのはあまり聞いたことがない。ラッキー。夏の『つぎはぎ』はソフトクリームがよく似合う。
夕べあまり寝ずに車を運転していたので、突然、睡魔が襲ってきた。おまけに頭痛まで・・・・そういう時は、迷わず休憩だ。ちょうど、手ごろな場所に屋根がついた休憩所のようなところがあった。速攻そこに入り、人目もはばからず、長いすに横になった。ちょっとすると、本当に寝てしまった。20分ぐらい寝ていただろうか?目が覚めると、なんと、周りは雨でびっしょりとぬれていた。幸い。自転車も私も屋根の下だったので、ぬれることなく、無事だった。しかも、起きたときにはすでに雨は止んでいた。なんとラッキーなこと。偶然の仮眠が雨宿りになっていたのだ。
岩崎弥太郎の生家を目指す。ここも、幹線道路から3キロほど山に入ったところ。ただ、平坦な道だったのでそれほどの苦労もなくここには到着。ここはそれほど、観光地化されておらず、普通に家があるだけだった。こういうのも、いい。
その後、武家屋敷などが残っている町並みなどを散策し、野良時計という有名な時計塔も拝見した。この時計、明治時代当時めずらしかった時計を、ここの人が購入して来て、分解をして時計の仕組みを覚え、大きいものを自作したものだそうで、それが今も動いて時を刻んでいるそうだ。この辺りの人は、古くから動いているこの時計を「野良時計」として親しんでいるということだった。公園に立っていた岩崎弥太郎の銅像も見て、この地を後にした。
この町は、童謡の町としても有名らしい。叱られての詩が町の一角に記念碑になっていた。
自転車道を通る。この道路、しっかりしていて、結構距離あった。海岸沿いに作られており、普通に国道を走るより気持ちよく走れたのではないかと思う。太平洋をしっかり拝みながら自転車をとばした。途中の公園に、女の人二人の銅像があった。坂本竜馬の奥さんのお龍と君枝だそうだ。これも、意外な拾い物だった。自転車道を通らなかったら見ることはなかったと思う。
高知市街に入っていくと、なにやらにぎやかな雰囲気。暴走族か何かの集団・・・・いや、よさこい祭りの衣装を着た集団だ。今日はよさこい祭りということで、街全体が華やいでいる。その横をロードバイクに乗って進む。少し行くと、はりまや橋付近に来る。ホテルはすぐそこだ。
よさこい祭り
なんと、今日は偶然にも「よさこい祭り」どうりでホテルの予約がなかなかできなかったわけだ。自転車で148キロも走った後ではあったが、これは見に行かなくては損ということで、近くの会場に踊りを見に行った。そこに繰り広げられる踊りの数々。圧倒されてしまった。本当にかっこよかった。こういうものを近くで何度も見ていると、熱中している日との気持ちが分かった。全国から大勢の人々が見に来てくれ、その前で精一杯踊ることができるというのは、すごい魅力だ。180ぐらいの団体がエントリーしているそうだが、それぞれに思考を凝らし、精一杯踊っている姿。感動した。我々の見ていた会場では180全部が出たわけではないが、それでも20近くは見ただろうか。う〜んいいものを見せてもらった。
ただ、音楽の音量が大きすぎたのはまいった。アーケード内だったからよけいだったのかもしれないが、これにはまいった。難聴になったらいけないので、パンフレットの紙をちぎって、口に入れ、くちゃくちゃしたものを耳につめて、簡易耳栓をした。これで、ちょうどいいくらいだった。あ〜まいった。
踊りを見終わって、近くの店で、かつおのたたきの料理をいただいた。土佐といえば鰹のたたき。おいしかった。ホテルに帰って、大風呂に入り、体を休めた。
本日のテータ
走行距離 147km
平均速度 21.6km/h
最高速度 45km/h
『つぎはぎ日本一周』