『笠沙〜開聞』
2008.8.1 
GPS軌跡 笠沙恵比寿でさわやかな朝を迎える。6時30分ごろ目覚めた。ここは朝食が7時30分からということで、私にはめずらしく朝の散歩でもしようという気になり外に出てみた。高いホテルなので、気分までそのようになったのかも?でも、これが正解。朝のホテルの周りはとても気持ちよく、得をした気分。海岸線も綺麗なところが多く、癒される。ただ、こんなに綺麗な海にもかかわらず、漂流ゴミは他の海岸と同様たくさん流れ着いていた。
 南国ムードを漂わす、ハイビスカスや、世界一周を達成したヨット(垂乳根号)も展示してあったりと、泊まっているだけでは気がつかなかったであろういろいろなものが見れてよかった。
 ホテルに帰り、朝風呂。これが高級リゾートの醍醐味。贅沢だ〜。風呂から上がり、いよいよ朝食。昨日もそうだったが、ホテルや旅館での朝食はゆったりした気分でしっかり食べることができる。また、意識して、今日のアップダウンに備えてしっかり食べた。

   

   

   

 朝の時間に、ホテルのフロントの人にこの先の道の様子や、見所などを聞くと、相当アップダウンがきつそうということが分かった。なんといってもリアス式海岸。心してスタートしなくては!。それから、風車が10基ある野間半島のことも聞いたが、ここもお勧めということだった。ただ、坂は半端じゃないそうだ。折角ここまできたのだから、野間半島にも行くことにして、笠沙恵比寿をスタートした。

   

 風車が見える方へロードバイクを進めると、激坂が見えてきた。これをこれから上るのだ・・・・。まあ、石見グランフォンドで鍛えているので少々ならばOK。少し上ると、綺麗な海が見えてきた。海岸線が白とブルーのグラデェーションになっている。上るにつれて風車が一つ、また一つと見えてくる。やはり、これだけ風車があると迫力がある。

   

 最先端の風車を越えると、道が舗装道路から未舗装の道路になった。最初はそれでも進めたが、だんだんと草が生い茂りジャングルのようになっていった。ロードバイクではこれが限界。これから先に進むとしたら、探検隊のような準備が必要か?その場所から岬の先端にある灯台を写真に撮り引き返すことにした。
 それでも、途中に見える海はすばらしかった。夕日ケ丘公園という標識があったので、その坂を上ったら、昨日、笠沙恵比寿の周りを掃除していたおじさんに再会した。この公園もボランティアで掃除しているそうだ。そのおじさんは、ここも人数が少なくなるし、年寄りばかりになってきたと嘆いておられた。3年前は一緒に草刈りをしていた仲間も今は動けなくて家で寝ている・・・というようなことを言われた。どこも過疎化の波は押し寄せてきているのだと、綺麗な海をみながら複雑な気持ちがした。こうした綺麗な場所も人が手を加えて維持しているからこそ、観光客でも見ることができる、ということも感じた。もし、手を加えなかったらさっきの行き止まりのようにジャングルのようになり、とても人が入ることができないそんな場所になってしまうのだろう。 

   

  

 海岸まで下りると、九州電力が作っているウインドパークという展示資料館があったので、入ってみた。そこには、風力発電の仕組みや、野間岬の模型、その他の環境に優しい発電のことなど展示してあった。こういう自然の力を利用した発電をこれからも増やして、化石燃料にたよりすぎないシステムを作っていかないと、これから本当に大変になる。そんな思いを持った。

  

 さて、ここからいよいよリアス式海岸の本場、枕崎までの40キロの道のりを進むわけだ。気合を入れてスタートした。スタートしてやはり坂がずっと続く。アップダウンというより、アップアップだ。随分上ってきたところで野間岬をふり返る。これが、最高。すばらしい眺めだ。苦しい坂も上ってきた甲斐があったと感じることができた。それにしても絶景。『つぎはぎ日本一周』の中で感じたベストシーンの中に入る美しさだ。スタート時に購入したスポーツ飲料と、ミネラルウォーターがなくなってきた。室内トレーナーでは汗が滴り落ちることがあるが、普通にロードを走っていて汗が滴り落ちるということはそれほどはないのだが、この道の坂では汗が滴り落ちていく。そろそろ水分を補充しておかないと、この先熱中症になる危険も出てきた。そんなことを考えていると、ちょうどいいところにお店やさんがあるではないか。ラッキー。早速中に入るが、だれもいない。「ごめんくださーい」と大きな声で呼びかけるけれども誰も出てこない・・・・。のどかな場所ならではのお店だ。そういえば、私が子どもの頃、真砂にあったお店はどこもこんな感じだった。「ごめんくださーい」と何度も呼ぶと、裏の畑の方からおばちゃんがやってくる、そんなお店だった。ここのお店もきっとそんな感じなのだろう。でも、何度呼んでも出てこない。それでも、水分はないと、この先、本当に不安。ということで、ポカリスエットの缶を冷蔵庫から取り出し、120円をレジのところに置き、置手紙をして購入させてもらうことにした。助かった〜。これで、熱中症にならずにすむ。

   

 野間岬の美しい景色とお別れして、先へ進むと、今度は、沖秋目島という島が見えてくる。まるで、海の中に恐竜でもいるようなそんな形の島だ。ここの眺めもすばらしかった。ちょうど、いい場所に美術館と、杜氏の里があった。ここでも、水分を補給。本当に何リットル飲んでも足らないくらいだ。

   

   

 少しの間山道を通り、次に開けてきた場所は坊津というところ。ここは、あの鑑真が最初に日本に上陸したところとして有名な場所だ。それと、007が日本でロケをした場所として石碑が立っていたりする。とてものどかで美しい町だ。

   

『つぎはぎ日本一周』では各地の歴史に関することもできるだけ触れるようにしているので、鑑真記念館にも入ってみた。ここは、ちょっと古い感じがしたが、分かりやすいスライドなどで、鑑真の業績を解説していた。スライドというところが古さを感じるが・・。それにしても、鑑真という人はすごい人だなあ、と改めて思う。日本に渡るために命を懸けて5度も挑戦し、いずれも失敗、そして最初に渡航を試みてから10年目、6回目の渡航でついに日本に渡り、日本の仏教を一歩も二歩も前進させる業績を残したのだ。

   

その後も、美しい海岸線を進む。何度も足を止め、写真をとった。

  

   

 枕崎に近づいてきた。番屋山という山にも野間岬のように風力発電用の風車が10基、設置してあった。ここらあたりは風力発電がとても盛んな地域なのだ。遠くにうっすらと開聞岳も見えてきた。

    

 枕崎に到着。駅を探すけれど、駅らしい建物がない・・・・。よく見ると、ホームだけの駅だ。指宿枕崎線の一番端の駅なのに、ちょっとびっくり。駅の建物はないが、広場らしきものがあり、そこに日本最南端の終着駅という記念碑?灯台?が設置していたので、そこで記念撮影。近くの一福というお店で食事。ここの青魚定食は680円と安いのに刺身はあるし、天ぷらはあるしで、絶対お勧めの定食だ。

  
   

 もともとの予定だと、枕崎ぐらいまでかな〜と今回の『つぎはぎ日本一周』は考えていたのだけれど、昨日がんばって137キロも進んだので、早い段階で枕崎に着いた。そこで、行けるところまで行ってみようということで、指宿方面に向かって更に足を伸ばすことにした。
 枕崎から最初少し上りがあったが、後はそれほどでもなくスムーズに進む。道沿いの木陰があまりに気持ちよさそうだったので、ちょこっと休憩。

   

 開聞岳がだんだんと近づいてくる。道沿いにはデイゴ?の花が咲いていた。(違っていたらごめんなさい)それにしても開聞岳はいい形しているな〜と思う。

   

 途中、またまた水分補給。コンビニで1リットルで105円というスポーツドリンクを購入。これは、昨年四国の時も飲んだような記憶が・・・。やった〜得したと思ってアイスと一緒にレジに出すと、100円と思っていたアイスがなんと200円・・・・。ガ〜ン。まあ、ちょっと贅沢して200円アイスをいただく。(そうそう、1リットルのスポーツドリンクは、ドリンクボトルと、500ミリリットルのペットボトルにうつしてホルダーに入れてこぎながら飲むようにするので、一気に1リットル飲んだわけではありません)

 

 いよいよ開聞岳が近くなり、どこかの絵画のような景色のところに出る。これは綺麗。ここも、ベストシーンの一つだ。

  

 開聞という駅が見えてきた。無理をすれば、もう少しは行けるかもしれないけれど、時間もまずまずなので、今日はここまでとした。開聞駅も無人駅でのっぱらに駅があるといったつくり。そんな中、ロードバイクを分解して輪行袋にセット。後は列車を待つだけ。あ〜これで、3日間の『つぎはぎ日本一周』も終わりなのか〜と思うと寂しい気持ちも出てくる。もっと続けたいなあと思った。

   

   

 鹿児島中央まで、普通に乗り、そこから九州新幹線に乗る。幸いにも、九州新幹線では輪行バックを置くベストポジションの席をゲットすることができた。一番後ろの席と車両の壁との間に輪行バックを置くのが一番気兼ねなくていいのだ。(写真のバックは、もう下りる直前で、ドアのところに移動したもの)新八代に到着。ここには、リレーつばさとして、隣のホームに新幹線ではないつばさが待っていた。ここで、乗客の方が乗り換えをするのだ。後は益田に向かってひたすら車を運転するだけだ。休み休み帰り、深夜割引を使うことができた。今回、深夜割引は特別キャンペーン中で、普通3割引のところが4割引になっていた。ラッキー。

   

  

 それにしても、今回の道は美しかった。また、いろいろいい経験もでき思い出深い旅となった。やはり、この『つぎはぎ日本一周』は、他の人から見れば変人?のように見えるかもしれないけれど、私にとっては、とても大切な、心を充実できる、自分自身を確認できるものということが、今回の旅でもよくわかった。これからも、決して終わらせずに続けていきたいと思う。次回はどっち方面?『つぎはぎ日本一周』

GPS軌跡

本日のデータ
走行距離 77.31km
平均速度 17.2km/h
最高速度 58.5km/h
費用 鑑真資料館入館料         300円
    開聞〜鹿児島中央鉄道代    1250円
    鹿児島中央〜新八代(新幹線)代 6000円
    駐車場代                3000円
    新八代〜美祢 高速代(深夜割引)3800円
 














『つぎはぎ日本一周』